2022デジタルイラスト論I
はじめに
この記事は2022年CCSアドベントカレンダー【裏】12/24日分の記事です。また遅刻してやがるよコイツ(私)。すみませんでした。
昨日の記事はコチラ
やっぱ曲作れるって羨ましいなあ……アルミサッキって何なんだ…??具体的には何の物体でできてるんだ…???
登場人物紹介
・Q字ネクタイ CCSと漫研の二足のわらじを履きつつTOEICなどなどほったらかして絵を描いてはYoutubeとスプラに明け暮れる人間の屑
開幕
メリークリスマス、Q字ネクタイです。
先日、CCS内で絵描きたちが大量発生していると伺いました。私だけじゃないんかと一瞬思いましたが漫研内でもイラストを中心にしたいという人間が22勢の多くを占めているとのことで、絵描きブームが起きてるなあと思わざるを得ませんでした…。
というわけで、私も他の人の参考になると幸いだと思ったのでメイキングを作ろうかと思ったのですが、第一に文才が無い。具体的には文が長い。
表の方に上げたこれを読んでいただけたらわかるはずです…ほんとなんでこんな長くなっちゃうんだろう…
第二に前駆者様がいらっしゃる。
これを見れば主線、バケツ塗り、影塗り、ハイライト、そして背景というデジタルイラストの基本の手順は大体わかってしまうのです。もう終わりです。
第三にタイムラプス撮ると多分iPadが落ちる。Proでも多分落ちる。まあこれはコミケポスターのサイズがA1とバカでかいから仕方ないのです。
最後に思想的に合わない。残念なことに私は絵をうまくするにはとにかく描くしかねえだろ主義なのだ!とにかく描け!バカ!
まあタツキ先生もそう言ってるし仕方ないね。服のシワとか顔の描き方とか意識して練習しまくらないと身につかないことは実際多いと思われます
というわけで、今回私は、絵を描いているときに気をつけていることや、経験上こうしたらなんかいい感じになるよと言ったことを伝えたいと思います。 この記事の内容を頭の隅っこに置いて絵に興味を持っていただければ幸いです。
作業環境
使用しているのはiPad pro、Apple pencil第二世代、そして右手デバイスとしてテンキーを用いてます。私は左利きなので右手デバイスです。
左手デバイスとしてテンキーを使う時は、左上のクリスタマーク>ショートカットキー設定からショートカットキーを設定すればOKです。
使用ソフトはクリスタEXです。元はといえば漫画用ですがPROの時点で対称定規も同心円定規もあるのでイラストのみが目的ならPROでもOKでしょう。アニメなんてprocreateで今の所どうにかできるしEXなんてPC用買い切りがあれば十分かも知れません。
PROは年額版を買えば2800/12で月額233円です。まあまあ安いとはいえサブスクは塵も積もれば山となるものだしそもそもiPadはAirの時点でバカクソ高いのでお財布と相談しましょう。
線画編
線画に関して言えることは一つです。線を細くしろ。
クオリティの高いカラーイラストを描きたいならめっちゃ細くしろ。
極端な例ですが、CCSポスターの線画を挙げさせていただきます。
PCやスマホなどの画面ではわかりづらいかも知れませんが、この通り、ものすごく細くしてあります。
限度もあるし、ある程度線の強弱もつけた方がいいのですが、これからバケツ塗りして描き込むにおいて、例え色トレスというものがあるにしても線画の存在感はほんのわずか程度に留めておいた方が明らかに良いです。その方が違和感が少なく済む上最後の調整も楽です。
しかし細い線画はめっっちゃ描くのに気を使います。描けば描くたびSAN値がゴリゴリ削れていく感覚です。こんなもの一発描きできる人間はこの世に居ないので線画及びラフ画は数回に分けて描きましょう。
この通り人体の構造を描いたラフ1、人体を本格的に描き、簡易的に服と髪などを描いたラフ2、そして本番描きと数段階に分けて描いてます。不安なら間にもう一段階挟んでも良いくらいです。
ブラシはなんの変哲もないただアンチエイリアス(ぼかし)強めのGペンです。こんなもの普通のイラストソフトで使えばたちまちバケツ塗りで端っこ数ピクセルが塗れずに困ってしまいますがそこは名高きクリスタ。後述する領域拡縮という機能が解決してくれます。procreateだとこうは行きません。
バケツ塗り編
絵描きにおける最大の苦行です。早く影塗りてえ。
パーツごとにレイヤーを分けて線画を基準にバケツ塗りして後の塗りをやりやすくします。
バケツ塗りも万能ではなく、
・線画との境界線にたった数ピクセル空白があったりする
・線画部分が塗られてないことに後々悩まされる(線画を細くする理由がコレ)
・部品や色ごとにレイヤー分けした時の手間が軽く吐きそうになるほど
・わずかな線画の隙間から洩れて本来塗りたくない範囲もどうしても塗ってしまう(線画を細くした時に頻発するトラブル)
という不具合が生じてます。相変わらず煩わしい作業です。
とりあえずレイヤー分けに関してはほとんど同じ色を使いかつあまり近くにないパーツレイヤーは統合するようにしましょう。後々こんがらがるのでレイヤーごとにどこのパーツなのかの名前をちゃんと書くようにしておくと後々楽です。
しかしクリスタの本当の恐ろしさはここから、クリスタには『領域拡縮』に加え『囲って塗る』という強力な機能が存在します。これを使えば少なくとも空白に悩まされることは大きく減るでしょう。
前者は線画の内側より少し外側に半ば強制的に塗るという強力無比な機能です。しかしこの機能でも2つ目の『線画の中は塗れない』という事案を解決するには至りません。
また、強制的に塗るとはいえ、このような角っこの部分だけ塗れないという親の顔より見た光景は全く解消されません。この現象が原因で現在でも幾万人もの絵描きが不安の中原稿を進めているとのことです。
しかし後者の機能『囲い塗り』はそれを解決するためにあるかのような発想の勝利的機能となっております。
この囲い塗りは塗りつぶし機能でありながら投げ縄機能の延長線上にある複雑ながらも便利極まりない機能です。
そしてこの投げ縄で塗りたい部分を囲むと…
この通り、端まで綺麗に塗ることができました。
この機能もこの機能で、線画の下の余計なところまで塗ってしまうなどの弱点があり、それに悩まされることも多いですが、わざわざ修正する手間はそれなりに減ることから、新時代の塗り機能と呼ばれています。
本番塗り編
分けたレイヤーの上にクリッピングマスクレイヤーを作ってその上に塗るかレイヤーの透明度をロックして塗ります。ここからが絵描きの本番です。花場です。腕と個性の見せ所です。
ここでは、私が頻繁に使う塗り用ブラシを紹介しようと思います。
またコイツです。しかし事実コイツを不透明度100のまま使って影を塗るだけでそれなりに形になります。そのままでは安っぽいけどメリハリが付くのです。ある程度薄い影に関しては後者3つに任せれば十分です。コイツは特別な状況下や技術が無ければ不透明度100のまま使うのみで良いでしょう。下手に使い分けるともっと安っぽくなって死にかねません。
No.2 やわ肌ブラシ
上のリンクより無料でダウンロードできます。
柔らかい印象を持たせたい時に使うブラシその1。めっちゃ便利。
Gペンだけではカバーできそうにない色んな柔らかいものを描くのに非常に便利です。
特にGペンが比較的苦手とする光が当たった部位の描写で真価を発揮するようなイメージがあります。絵の具量と絵の具濃度、色伸びなどの調節できることが多く、同時に敷居も高いので実際に使いながら性質を学ぶと良いでしょう。
No.3 塗り&なじませ
2022年の私のイラストに大革命を起こした一筆。コレ(次点でやわ肌)が無ければGペンは安っぽいブラシのままで終わってしまいます。
このブラシが活躍するのは主に服の影などのGペンで描いた影の補佐。
まずGペンで描いて、その端っこをぼかすのが主な役割です。
左右の違いがわかるでしょうか?
今回はフリルの一部分のみですが、コレが全体となるとかなり響いてくるのです。
塗り、なじませブラシ自体その気になれば塗りにも慣れるので正直Gペンとこのブラシだけで描いていた時代があるくらいですが、風格あるものを描くためには結局ある程度全体が少しボケたやわ肌ブラシが要るという事実に気づいて今に至ります。これらを用いればテクスチャを用いたものや厚塗りでも無ければ大半の人物画を描くことができるでしょう。
No.4 改造スプラッシュ水彩ブラシ
新たな地平に向かうためのテクスチャブラシです。
世の中の絵のほとんどは近くで見ると描く人の癖やブラシの跡などの何かしらの粗、いわゆるアクが見えてしまいます。しかしそのアクを取り除くには膨大な時間、手間がかかるのでいちいちそれをやっていては血を吐きながら続ける悲しいマラソンとなってしまいます。我ら未熟な絵描きには限界がありますが、そこでテクスチャを含むブラシを適切に用いると、良い感じにそのアクを軽減してくれます。
このブラシはつい一昨日完成した新顔ですが今の所隠し味として使い勝手がかなり良いです。やわ肌ブラシとの相性が抜群です。
さて、ここまで紹介したブラシを膨大な時間を燃料に上手く使いこなせれば大半の絵描きに負けないカラーイラストが出来上がることでしょう。
使い勝手を知るためにどうすれば良いのかというと…やっぱとにかく描いて下さい。上手い人の模写でもカラースケッチでもなんでもとにかく描いて下さい。服の影の描き方も人の肌の描き方も残念ながら全て描かねば上手くなりません。
それはそれとして影の色の選び方にはちょっとしたコツがあります。それは影の色は原則として元の色から少し青黒くなったものを選ぶと自然な色合いになって上手くいくという物です。
例えばこちらの描きかけの絵、こちらは人物(戌亥とこ)に薄紫色の影がかかっているように見えますが、こちらは人物レイヤーの上にクリッピングした薄紫色のレイヤーが乗算で乗っかっている形です。
影のレイヤーは"主影"、光が当たっている想定の部位だけ消すことで逆に光を表現しています。乗算レイヤーはこのように複数の色を持つレイヤーに影を入れるのに非常に便利です。
しかし、ある程度慣れてきて、光の色、影の色まで細かくコントロールしたいと思うようになると、このような塗った後どのような色になるかわからない手法はいつかは使い勝手が悪いと感じるようになってきます。そんな時に役立つ考え方です。
一旦乗算レイヤーを非表示にして…
例えばこの髪の毛。それぞれの色をまとめてみるとこうなります。
このように、影の色ほど暗めな上青に近い色が使われる傾向にあります。
まあ私が描いてる絵なので傾向もへったくれも無いのですが、例外でも無い限りこの法則に従っておいて損はないと思います。これにより部位ごとに違う質の影を描くことができるようになります。
青色に近くなる理由としては黄色や橙色の太陽光(ここでは赤)に対してメリハリを付けたり、青空、日が暮れた後の夜の空などの環境光を表現していたりなどさまざまな理由が挙げられます。いずれにしろ影の色を青くするだけで絵は数段リアルに映ることでしょう。
しかし例外はちゃんとあります。例えば先ほどの絵では人の顔を赤い影で塗っていました。これは色温度的な問題で青い影にしてしまうとまるで生きた人の顔のように映らなくなってしまうという問題があります。
左は何か怪物みたいな雰囲気、右は風でも引いているような雰囲気になってしまいました。不気味さを演出するならこれでも良いかもしれませんがどちらにせよ大抵は赤色で影を塗ったほうがシチュエーションに合うでしょう。周囲のものが全て青めの影で塗られているとしても人の肌のみを赤めの影で塗ってもあまり違和感が無いケースが多いです。
背景やエフェクト
一瞬話が逸れますがちなみにCCSのポスターにはカラーラフがあります。カラーラフとは絵の方針を決めるために描くテキトーな絵です。テキトーな絵なはずですが私は筆が遅いのでこれを描くのにも6時間ぐらいかかります。
恐らくもっとテキトーに描いた方が良いのでしょう…。
まあ何が言いたいのかというと、この次点でどのようなポスターになるのかを背景まで伝えなければいけないのです。
そして完成品がこちら
誰だ君たちは!
はい、この通り、背景に関して教えられる身分に私はありません。
何もかも行き当たりばったりで描いてます。
この背景の赤色だって採用するきっかけはほんの偶然です。教えられる気がしません。私は本当にデザ科なのか???
とりあえず一言言えることとしては、このポスターは"Pinterest"というアプリでポスターデザインを検索したところ辿り着いたとあるデザインを構図や色を変えて利用しています。絵の描き方を調べたり服の資料を調べるのにも使えるこのアプリですが、アイデアを探すのにも便利です。絵のアイデアを探している人は日頃から覗いて気になるアイデアを保存しておくと便利でしょう。
あと、黒い部分には『ノイズ黒粗』という素材を利用しています。ただの黒と印刷時にどう違くなるのかを試す試験的導入です。
一枚描くのにかかる時間
CCSポスターに関しては最低でも13時間ぐらい 下手したら20時間ぐらいかかっています。(ラフ含む)
…馬鹿なのか私は?
終わりに
というわけで、私がどのように絵を描いているのかでした。服のシワの描き方とか色々大事な部分が稚拙なものとなってしまいましたがここまで読んでくださりありがとうございました。というかこの時点で最低でも5700字弱はあるからこれ以上伸ばすわけにも行かないのです。
この記事が絵を描くときの参考になったら幸いです。絵に少しでも興味にもってくれたり、絵を描く人が増えてくれたらもっと幸いです。…いやコレを見て自分も絵を描き始めようと思う人間なんてこの世に居るのか…???
とはいえコミケ会場で自分が丹精込めて全力で描いた絵がこの世に顕現している様を見る快感は軽くえづくレベルです。まだ未熟な部分はありますが絵を鍛えて良かったと心から思いました。オススメです絵描き道。
ちなみに、次回で今年のアドカレは最終回だそうです。何の因果か表の方で私のブログの前日枠だからちょっと紹介した韓国旅行の人と同z…
~R18~だと!?
どういうことなの…???(隠しきれない期待の声)
それでは皆さん、良いクリスマスを。私は危うく確保できたamiibo眺めながらクマスロブンブンしてきます。イイダ先生もヒメちゃんも一緒に確保できて本当によかった…
ホナ!カイサン!
終
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